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故半藤一利さん資料展示 名誉館長の大和ミュージアム企画展に追加 創作ノートなど20点

 呉市宝町の大和ミュージアムの名誉館長で、2021年1月に90歳で亡くなった作家半藤一利さんの資料コーナーが、海軍をテーマにした作家3人を紹介する同ミュージアムの企画展に新たに設けられた。愛用品や初公開の創作ノートなど約20点を展示。企画展は当初より会期を2カ月延長し、来年5月31日まで。(仁科裕成)

 半藤さんは東京都出身で、14歳で東京大空襲を経験。東京大卒業後、文芸春秋に入り「週刊文春」「文芸春秋」編集長などを歴任。作家として昭和史を検証する著作を数多く書いた。11年から同ミュージアム名誉館長を務めた。

 開催中の企画展は「海軍を描いた作家~『大和』・『長門』・『陸奥』のものがたり」。戦争文学に焦点を当て、作家の阿川弘之さん、吉田満さん、吉村昭さんを紹介している。3人と交流があったことから、半藤さんの追加展示を企画。遺族たちから資料提供を受けて実現した。

 初公開となる「レイテ沖海戦」の創作ノート(昭和館蔵)は、戦場での各艦船の行動などをまとめ、全体像を把握しようとしている。ノート1行を10分間に見立て、鉛筆の細かな文字で分単位で変化する戦況を綿密に記述。「歴史探偵」を自認した半藤さんの取材姿勢の一端に触れることができる。

 「玉音放送」へ至る終戦時の舞台裏を描いた代表作「日本のいちばん長い日」の構想メモ(同)や、眼鏡や鉛筆などの愛用品、阿川さんから送られたはがきなども並ぶ。藤坂彰子学芸員は「人柄にも触れられる資料。それぞれの作家がどのように戦争と向き合い、作品にしていったかを感じてほしい」と話す。

 同ミュージアムは年末年始も通常通り午前9時~午後6時に開館。火曜休館だが1月3日は開館する。

 また、関連イベントとして、この4人と親交のあった戸高一成館長が2回に分けて館内で講演する。1月22日は吉村さんと半藤さん、2月5日は阿川さんと吉田さんについて話す。いずれも午後2時スタート、18歳以上が対象で定員50人。無料。往復はがきかメールで申し込む。それぞれ1月8日と22日が締め切り。申し込み多数の場合は抽選。☎0823(25)3017。

(2022年12月30日朝刊掲載)

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