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被爆証言を多言語翻訳 京都外大など「ネット」設立へ

 京都外国語大(京都市)は17日、国内外の大学教員たちと連携し、広島、長崎の被爆者の体験証言を多言語に翻訳する「被爆者証言の世界化ネットワーク」を24日に設立すると発表した。翻訳するのは、国立広島原爆死没者追悼平和祈念館(広島市中区)が公開している証言ビデオで、核兵器廃絶の願いを世界に広げる。

 同大国際言語平和研究所の長谷邦彦客員研究員たちが1年前から設立準備を進めていた。現時点で日本、ドイツ、スロベニアなど7カ国の大学教員や翻訳家たち約50人が参加を予定する。

 初年度は祈念館が所蔵する被爆者5人の証言ビデオを英独仏中韓の5カ国語に翻訳。字幕にして館内や、広島、長崎の両祈念館が共同運営するウェブサイト「平和情報ネットワーク」で公開する。

 被爆70年の2015年度以降は対象ビデオを増やし、国連公用語や核保有国の言語に広げる方針でいる。各国の若い世代の関心を高めるため、大学の授業を利用した翻訳作業も働き掛ける。事務局は同大に置き、24日に設立総会を開く。

 長谷客員研究員は「言葉の壁を破り、被爆体験を世界で共有してほしい」、祈念館の松井悟副館長は「ネットワークを通じ、多くの人に被爆の実相を知ってもらいたい。できる限りの協力をしたい」と力を込めた。参加申し込みや問い合わせは同研究所のメール、gengo@kufs.ac.jp(加納優)

(2014年1月18日朝刊掲載)

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