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「核なき世界へ転換点に」 首相、サミットへ決意 広島知事・市長・会頭と対談

 岸田文雄首相は、被爆地広島で5月19~21日に開く先進7カ国首脳会議(G7サミット)について湯崎英彦広島県知事、松井一実広島市長、池田晃治広島商工会議所会頭と対談した。被爆地で初のサミットを前に「核兵器のない世界を目指す国際的機運を再び盛り上げる大きな転換点にしたい」と決意を示した。(樋口浩二)

 官邸での対談は、中国新聞社の岡畠鉄也社長が司会を務めた。首相はロシアによる核兵器の脅しが続く中、核兵器を持つ米国、英国、フランスを含むG7首脳が被爆地に集う意義を強調。2022年8月の核拡散防止条約(NPT)再検討会議が決裂するなど核兵器廃絶への機運低下を指摘し「広島、長崎以来、核兵器が使われていない歴史の重みを維持し、平和への強いメッセージを示す場としたい」と訴えた。

 広島県・市が求める各国首脳と被爆者との面会については「政治リーダーに直接、被爆の実相に触れてもらうことは大変重要」とし、調整に力を尽くすとした。焦点の原爆資料館(中区)視察は、既に実現に向けた交渉に入っている。

 地元官民でつくる広島サミット県民会議の会長でもある湯崎知事は米英仏にドイツ、イタリア、カナダを加えたG7首脳に「核兵器の非人道性を深く認識してほしい」と期待。松井市長は「平和な世界を願うヒロシマの心をしっかりと受け止める意義深い機会になる」と話した。

 広島サミットでは、G7をはじめとする各国の政府関係者や国内外の多数の報道陣が訪れる。首相は「世界中が広島に注目する」と強調。池田会頭は「多彩な広島の魅力を各国首脳や関係者に体感してもらい、広島ならではのおもてなしを堪能していただきたい」と力を込めた。

(2023年1月1日朝刊掲載)

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