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峠三吉中心に被爆後創刊 「われらの詩」全号寄贈 原爆資料館へ

 原爆詩人の峠三吉(1917~53年)が中心となり、被爆後の49~53年に出した詩誌「われらの詩(うた)」の全号(1~20号、7号は未発行)が、広島市中区の原爆資料館に寄贈された。被爆体験や反戦をテーマにした詩や評論などを掲載。「まとまった形で残っているのは珍しい」(資料館)という。

 峠と共に活動していた広島出身の詩人、増岡敏和さん(2010年に81歳で死去)の妻頼子さん(78)=東京都=が「広島できちんと保存してほしい」と、広島文学資料保全の会(中区、土屋時子代表)を通じて贈った。

 A5判、各号30ページ前後。広島の文学愛好家の若者の寄稿を中心に構成され、有名な詩もある。俳優吉永小百合さんがよく朗読する原爆詩「ヒロシマの空」(林幸子作)や、峠が住んでいた市営平和アパート(中区昭和町)から見える京橋川の眺めに着想を得て作ったという「河のある風景」などだ。

 保全の会の池田正彦事務局長(67)は「原爆が二度とあってはいけないという先輩たちの思いを後世に残したい」。資料館は「初期の原爆詩として貴重。全巻を所蔵する図書館もほかにない」として館内の情報資料室での展示を計画している。

 併せて、峠たちが50年に作った「反戦詩歌集」(1、2集)や、「広島文学サークル」(1~4号)など92冊も寄贈された。(増田咲子)

(2014年1月20日朝刊掲載)

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