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戦争体験の声紡ぐ ネットラジオで配信 元新聞記者・広島の早川さん

 インターネットラジオ番組を企画・制作している元新聞記者の早川洋平さん(33)=広島市安佐南区=が、原爆や空襲体験者を自ら取材し、集めた肉声の証言を「戦争の記憶」と題してネット上で配信している。「ライフワーク」と位置付け、千人のインタビュー収録を目指している。

 早川さんは、中国新聞記者などを経て2009年、インターネットラジオ番組の企画・制作会社を設立し、社長を務めている。

 証言収集は、新聞社を辞めて広島を離れ、出身地の横浜市で暮らしていた時、原爆についてあまりにも知られていない現状に、戦争の風化への危機感を覚えたのがきっかけ。終戦から70年近くたち、体験者の記録を残しておかないといけないと強く思い始めた。複数の知人からも背中を押され、昨年夏から取材・収録を進めている。

 これまでに広島県内や横浜市、東京都などに住む14人から被爆体験や戦時中の暮らし、若い世代へ伝えたいことなどを聞き取った。広島市江波町(現中区)の自宅で被爆した大岡貴美枝さん(92)=中区=からは、ガラス片が顔に刺さってけがをした体験などを聞き、「戦争ほど惨めなものはない。起こしてはいけない」との訴えを収録した。

 このほか、広島で被爆し、ケロイド治療のため渡米した笹森恵子さん(81)=米国=や、呉市広で空襲に遭った中元廸香(みちか)さん(87)=呉市=らの証言を36~82分で公開。ネットから誰でも無料で聞ける。

 早川さんは「若い世代に託すメッセージも含めて、多くの人に聞いてもらい、平和について考えるきっかけにしてほしい」と話している。証言を英訳するボランティアや、証言してくれる人を募っている。「戦争の記憶」のアドレスhttp://j.mp/memoriesofwar早川さんのメールアドレスinquiry@kiqtas.jp(増田咲子)

(2014年1月20日朝刊掲載)

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