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核軍縮 重要テーマに 首相 サミットへ表明 年頭会見 子ども予算 6月に大枠

 岸田文雄首相は4日、訪問先の三重県伊勢市で年頭の記者会見に臨んだ。ロシアが「核の脅し」を繰り返す中、議長として地元広島市で5月に開く先進7カ国首脳会議(G7サミット)では核軍縮が重要テーマの一つになると言明。核兵器を持つ米英仏3カ国を含むG7で連携し、「被爆地広島から、核兵器のない世界に向けた力強いメッセージを発する」と意気込んだ。(樋口浩二)

 首相は、ウクライナを侵攻するロシアの「暴挙」で国際秩序が揺らいでいると指摘。広島サミットへ向け「自由、民主主義、人権、法の支配といった普遍的価値を守り抜くため、G7で結束し、世界との連帯を示さなければならない」と述べた。

 現時点で想定するサミットのテーマには、核軍縮のほか、ウクライナ、インド太平洋といった地域情勢や気候変動、保健、経済安全保障を提示。9日に始めるG7各国歴訪で首脳たちに協力を要請する。

 会見ではまた、ことしの重要課題に子育て支援を挙げた。子ども関連予算の倍増に向けた大枠を6月の経済財政運営指針「骨太方針」策定までに示すと表明。先行して、児童手当を中心とした子育て世帯の経済支援や保育サービス、育児休業制度などについて強化策をまとめる構えで、「異次元の少子化対策に挑戦する」と語った。

 経済政策では「新しい資本主義」の具体化に言及した。官民で賃上げを進め、「賃金が毎年伸びる構造をつくる」と強調。経済界に物価上昇率を超える引き上げを要請し、政府も最低賃金のアップなどを目指すと主張した。業績に応じた柔軟な賃金体系の浸透などで人材の流動化を後押しするほか、スタートアップ(新興企業)創出へ世界トップクラスの大学の国内誘致を年内に打ち出すとした。

 首相は会見に先立ち、現職の恒例行事として昨年に続き伊勢神宮を参拝した。

(2023年1月5日朝刊掲載)

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