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「被爆ポンプ」に資料館保存や引き取り公募案 広島駅南口再開発で撤去の3基

 広島市南区のJR広島駅南口Bブロック再開発に伴い撤去された、「被爆ポンプ」と呼ばれる手押しポンプ3基の活用案が固まった。1基は原爆資料館(中区)が保存することになり21日、引き取られた。「被爆地復興の歩みを伝える資料」として公開を予定する。市は残る2基は、再開発後のBブロック内への設置と引き取り手の公募を検討する。(加納亜弥)

 南区松原町と猿猴橋町の再開発エリアの歩道にあった3基は20日夜、再開発組合によって撤去された。2基は、大正期から市内で製造された広島発祥の「津田式ポンプ」。残る1基は名古屋市のメーカーが戦後に製造開始した製品で、表面に「DRAGON」の文字がある。

 この一帯に以前住んでいた人によると「原爆投下前に防火水槽と合わせて据え付けてあった」。ただし資料が残っておらず、所有者や設置時期は不明。戦後に取り換えられた可能性もある。復興する街で1960年代まで使われたという。

 原爆資料館で保存するのは津田式の1基。再開発の工事関係者が21日、運び込んだ。資料館は、6月から予定する新着資料展で公開する方針でいる。

 残る2基は道路法に基づき、市が「撤去物」として近く告示。6カ月以内に所有者が名乗り出ない場合、市は1基を再開発後のBブロック内の歩道緑地帯に飾る。もう1基は公開を条件に引き取り手を募る考えだ。南区維持管理課は「街は大きく変わる。ポンプに思い入れがある人も多い」とみる。

 保存を訴えてきたピースボランティアの永原富明さん(67)=呉市=は「原爆から復興する広島の街を見守ってきたポンプ。見る人の想像力をかき立てるだろう」と喜んでいる。

(2014年1月22日朝刊掲載)

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