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耐震化費計上見送り 被服支廠で県23年度当初予算案 財源確保めど立たず

 広島市南区にある最大級の被爆建物「旧陸軍被服支廠(ししょう)」を巡り、広島県が2023年度の着工を予定している県所有3棟の耐震化工事の費用について、23年度一般会計当初予算案への計上を見送る方針を固めたことが11日、分かった。利活用の具体案が固まらず、財源確保のめどが立っていない。

 県は3棟の工事費は概算で計17億4千万円を見込む。22年度末で実施設計と国の重要文化財指定に向けた調査を終え、23年度から順次着工する予定でいる。

 ただ複数の関係者によると、22年度中には利活用の具体案が固まらない見通しになり、現時点で国から財政支援を得られるめどが立っていない。このため、耐震費用の予算計上は困難と判断したとみられる。

 県は23年度、国や広島市とつくる研究会で利活用策を検討し、市と費用負担について協議したい考えだ。財源を確保できれば、23年度中にも補正予算案で対応し、着工を目指す。

 当初予算案は現在編成中で、デジタルトランスフォーメーション(DX)や地球温暖化対策などで新規事業を予定する。5月に広島市である先進7カ国首脳会議(G7サミット)の関連事業費は国や市と調整中という。(河野揚)

(2023年1月12日朝刊掲載)

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