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「脱原発」支援者ら落胆 飯田氏の山口知事選立候補断念

 2012年7月の前回知事選で次点だった環境NPO代表の飯田哲也氏(55)が21日、山本繁太郎前知事の辞職に伴う知事選(2月6日告示、23日投開票)に立候補しないと表明し、「脱原発」の論戦に期待していた支援者に落胆が広がった。(門戸隆彦、井上龍太郎)

 山口市内で会見した飯田氏は、立候補に期待する声がある半面、12年12月の衆院選に日本未来の党から立候補したことで「しこりもある」と受け止めた経緯を説明。東京都知事選(23日告示、2月9日投開票)に立候補を表明した細川護煕元首相に勢いが出れば追い風になるとみたが、安倍政権の地元で自民党推薦候補と戦う厳しさに触れ「知事の仕事に閉じ込められず、自由にできる仕事を選ぶことにした」と述べた。

 会場後方では前回知事選で落選した元衆院議員の高邑勉氏(39)が会見を聞いていた。突然、飯田氏に駆け寄り「何で諦めるのか。飯田さんに期待する県民はたくさんいる」と翻意を迫る一幕も。会見終了後も2人で話し合ったが、飯田氏は決意を変えなかった。

 中国電力上関原発(上関町)建設計画の公有水面埋め立て免許延長の可否判断時期が迫る中での知事選。飯田氏の断念を聞いた計画反対派「上関原発を建てさせない祝島島民の会」の清水敏保代表(58)は「脱原発候補として出てくれると思っていた」と残念がった。一方、推進派の上関町まちづくり連絡協議会の古泉直紀事務局長(55)は「過疎や高齢化などの対策が争点になるべきだ。原発はそぐわない」と話した。

 各党関係者にもさまざまな受け止めが広がった。社民党県連合の佐々木明美代表は、勝手連的に支援する意向を飯田氏に伝えていたと明かし「最もいい候補だと思っていたのに…」と惜しんだ。元総務省官僚の村岡嗣政氏(41)の擁立を決めた自民党県連の新谷和彦幹事長は「自分たちの戦いをするだけ」。独自候補の擁立を予定する共産党県委員会の佐藤文明委員長は「自共対決の様相が強まった」と述べた。

飯田氏が立候補見送り 山口知事選

 山本繁太郎前知事の辞職に伴う山口県知事選(2月6日告示、23日投開票)で、立候補を模索していたNPO法人代表の飯田哲也氏(55)が21日、山口市のホテルで記者会見し、立候補を見送ると表明した。「自らがやるべき仕事は何かを考え直した。支援者におわびしたい」と説明した。

 飯田氏は2012年7月の前回知事選に立候補。脱原発を訴えて短期間で支持を広げ、山本氏と約6万7千票差の約18万6千票の次点と善戦した。今回も中国電力上関原発(同県上関町)建設計画の反対派などから待望論があっただけに、選挙戦に影響しそうだ。

 飯田氏は断念の理由として「知事に適切な人は多いが、国内外のエネルギーを変える仕事は私が欠けると歯車が壊れる」と強調。12年12月の衆院選山口1区に日本未来の党から立候補したことで「しこりが残っている部分も否定できない」とした。

 会見場には前回知事選で敗れ、今回も立つ意向だった元衆院議員の高邑勉氏(39)が現れた。飯田氏が立てば自分は立候補を断念して支援する協議を進めていたことを明かし、今後は「ゼロベースで考え直し、月内に態度を決める」と述べた。

 同知事選では、無所属新人の元総務省官僚村岡嗣政氏(41)=自民党推薦=が立候補を表明。公明党も推薦する予定で、民主党県連は支援を模索する。共産党県委員会などでつくる政治団体は、近く候補者を発表する。(村田拓也)

(2014年1月22日朝刊掲載)

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