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露の侵攻余波 母国追われたシリア人 在留資格変更求め提訴 広島地裁「短期」から就労可能に

 ウクライナに留学した経歴からロシアが政権を支える母国で迫害を受けたとして、広島県内に避難している40代のシリア人男性が、在留資格を90日の「短期滞在」から就労可能な1年の「特定活動」に変更するよう日本政府に求める訴えを広島地裁に起こした。短期滞在は2月中に在留期限を迎えるという。

 提訴は11日付。訴状などによると、男性はウクライナの医科大で薬学を学んだ経験があり、シリアの政府職員として働いていた。昨年2月にロシアによるウクライナ侵攻が始まると、シリア政府に一時身柄を拘束された。職も追われ、11月に日本入り。12月に広島出入国在留管理局に在留資格の変更を申請したが許可されず、母国での迫害などを証明する書類の提出を求められているという。

 男性側は「帰国すると生命が脅かされる恐れがあり、難民に該当する。やっとの思いで逃げてきており、書類を用意するのは難しい」と主張。日本政府が積極的に保護する方針を示し、ほぼ無条件で在留資格の変更を認めているウクライナからの避難民と比べて不平等で、同管理局の対応は「裁量権の逸脱、乱用で違法」などと訴えている。

 同管理局は「個別の案件についてのコメントは差し控える」としている。(堅次亮平)

(2023年1月13日朝刊掲載)

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