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核不使用 G7広島で発信 首相帰国 増税「説明を徹底」

 岸田文雄首相は15日夜、欧米5カ国歴訪を終え帰国した。最終訪問先の米ワシントンでの記者会見で、防衛費増額に伴う増税に関し「野党との活発な国会論戦を通じ、国民への説明を徹底したい」と述べた。5月に被爆地広島で開く先進7カ国首脳会議(G7サミット)については、核兵器の不使用継続を国際社会に発信するとしたが、核兵器廃絶には踏み込まなかった。

 他国領域のミサイル基地などをたたく反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有や防衛費増額に関し、首相は会見で「バイデン米大統領から全面的な支持が表明された」と強調。ただ、防衛費増額に伴う増税については自民党内にも異論があり、23日召集の通常国会で論戦の主要テーマとなる。

 欧米歴訪の成果は「G7が結束して法の支配に基づく国際秩序を守り抜くとの連携を確認できた」と総括。とりわけ日米首脳会談で日米同盟の抑止力を強化する決意を新たにしたとして「経済や技術まで広がった日米間の安全保障協力の強化に取り組む」と表明。米国が発動した半導体の対中輸出規制を巡っては、米国や同志国と意思疎通し取り扱いを考えるとした。

 広島サミットを巡っては広島、長崎への原爆投下に触れ「77年間、核兵器が使用されていない歴史をないがしろにすることは、人類の生存のために決して許されないとのメッセージを世界に発信したい」と述べた。

 元徴用工訴訟問題については、韓国政府が日本企業の賠償支払いを韓国の財団に肩代わりさせる解決案を公表したことを受け、日韓の外交当局の努力を継続し意思疎通を図ると説明。中国とは対話を重ね、建設的かつ安定的な関係の構築を目指すと強調した。広島サミット前の日中首脳会談は「現時点で決まっているものはない」とした。(中川雅晴)

(2023年1月16日朝刊掲載)

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