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ドームの破片引き揚げ 元安川から西区の嘉陽さんら

 世界遺産の原爆ドーム(広島市中区)の近くを流れる元安川で22日、ドームに使われていた石とみられる破片が重機で引き揚げられた。広島大大学院生の嘉陽礼文(かよう・れぶん)さん(35)=西区=が昨年6月に川底で発見していた。

 作業をしたのは、嘉陽さんと広島大の教員たち5人。クレーンで花こう岩2片を引き揚げた。大きい方は縦100センチ、横55センチ、高さ25センチの直方体で重さ約300キロ。表面の一部には接着用のモルタルと赤れんがの破片が付着している。もう1点は高さが30センチの三角柱で約100キロ。ともに、表面には掘った溝のような装飾がある。

 これまでのドーム敷地内での立ち入り調査や資料写真との照合から、嘉陽さんは「3階ひさし部分ではないか。ドームの一部が原爆の爆風で吹き飛ばされた」とみる。広島大医学資料館(南区)で展示する予定で「多くの人に石片に触れてもらい、思いをはせてほしい」と話している。

 嘉陽さんは仕事や学校の合間に、原爆の熱線で溶けた被爆瓦やガラス片などを川底から集め、海外の大学や博物館に寄贈する活動を続ける。原爆ドームの一部とみられる石片は昨年8月から収集しており、「さらに確証を得るため調査を進めたい」としている。(加納亜弥)

(2014年1月23日朝刊掲載)

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