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本川小150周年 平和の願い 爆心地近く 児童と教職員400人犠牲 式典で次代への継承誓う

 広島市中区の本川小で13日、創立150周年の式典があった。1945年8月6日、爆心地の西約350メートルに位置する同校は校舎の外郭を残して全焼。児童と教職員約400人が亡くなった。式典で児童たちは多くの犠牲者が出た同校の歩みを振り返りながら、平和への誓いを新たにした。(向井千夏)

 高学年の児童や教職員、地域住民たち約260人が体育館に集い、低学年の児童は各教室からオンラインで視聴した。築地陽子校長はあいさつで「爆心地に最も近い学校として平和を広く発信し、教育研究に力を注いできた。本川小の良さを受け継ぎ、次の子どもたちに引き継いでほしい」と参加者に語りかけた。

 1873年1月10日に開校した「造成舎」が前身で79年に本川小、1941年に本川国民学校、47年に再び本川小に改称された。松井一実市長は原爆投下翌年の2月、がれきが散乱する中で授業が再開された同校の歴史を紹介し「市の平和教育をけん引する学校として、歴史を次の世代へと継承してほしい」と述べた。

 被爆当時の校舎の一部は本川小平和資料館として一般公開され、国内外の来訪者に被爆の実態を伝えている。市は、袋町小平和資料館、広島逓信病院旧外来棟(いずれも中区)を合わせた3施設を原爆資料館(中区)の付属展示施設にする方針を固めている。

 児童代表であいさつした6年渡辺伊織さん(12)は「原爆で先輩たちの明るい未来が失われた。多くの人に資料館を見学してもらい、家族や友人へ平和の大切さを伝えてほしい」と力を込めた。5、6年生は原爆の恐ろしさや平和の喜びを表現したオリジナル曲を合唱。4年生は地域に伝わる「本川音頭」を披露し、節目を祝った。

 本年度は全国民の小学校就学が定められた1872年8月の学制発布から150周年に当たり、最も早い時期にできた各地の学校が節目を迎えた。市教委によると、市内では本川小のほか幟町、袋町、福木、戸坂、矢賀、荒神町、仁保、天満、草津、日浦、口田、船越、五日市の計14校が創立150周年となる。

(2023年1月14日朝刊掲載)

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