×

ニュース

記憶つなぐ灯 広島でも 阪神大震災28年

 阪神大震災の発生から28年となった17日、広島市中区でも追悼行事があった。原爆ドーム対岸の元安川親水テラスに8人が集まり、祈りをささげた。

 神戸大生だった一人息子の貴光さん=当時(21)=を亡くした加藤りつこさん(74)=安佐北区=が代表を務める市民団体などが主催し、今年で3回目。280個の灯籠を「1・17 つなぐ」の文字の形に並べ、神戸市の「1・17希望の灯(あか)り」から分灯した火をともした。地震が発生した午前5時46分に合わせ、全員で黙とうした。

 広島大4年池田風雅さん(22)=東広島市=は盈進中・高(福山市)時代に加藤さんの話を聞いた縁で「震災を直接知らない世代として、少しでも『あの日』を身近に感じたい」と初めて参加した。「学生生活を楽しみ、どんな将来に進むか考える時期だったはず」と、貴光さんの無念に思いをはせた。

 加藤さんは震災後、貴光さんと同世代の若者を見るのがつらい時期があった。2012年から盈進中・高で体験を語るうちに涙を流しながら話を聞き、卒業後も思いを寄せてくれる若者の存在に救われたという。「人は忘れられた時に2回目の死を迎えるというけれど、未来を担う世代が貴光を心に刻んでくれている」とほほ笑む。(下高充生)

(2023年1月18日朝刊掲載)

年別アーカイブ