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平和願い空襲体験詠む 「歌会始の儀」佳作 江田島の小松さん 15人中最高齢 独学で短歌作り

 皇居・宮殿で18日あった「歌会始の儀」で、佳作に江田島市江田島町の元小学校校長、小松峯雄さん(89)が初めて選ばれた。全国の佳作15人の中で最高齢。「思ってもなかったことで光栄です。自分でも好きな歌なのでうれしい」と喜びを語った。

 「グラマンの掃射(さうしや)やみたる溝のなか友とふたりのくぼみ残りき」

 佳作の短歌は、12歳の時の空襲体験を詠んだ。同級生との下校時、警報と同時に米軍機の掃射が始まり、防空壕(ごう)に逃げる余裕もなく、近くの側溝にうずくまって過ぎ去るのを待ったという。立ち上がると、溝の底の砂に2人分のくぼみが残っていた。「生きた心地がしなかった。平和への思いを込めて作った」

 お題の「友」に、その光景がよみがえり、歌はすぐに浮かんだという。「手直しすることなく、ぴったりはまった」と笑顔で話す。

 市内の小学校を退職後に短歌を始め、会に属さないで独学で励む。歌会始には毎年、お題を見て、いい歌ができたら応募してきた。

 最近は、戦禍にあるウクライナを思って心を痛めることが多い。「子どもたちの思い出がつらいものにならないよう、祈るばかりです」(楠信一)

(2023年1月19日朝刊掲載)

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