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[広島サミット5・19~21] 原爆朗読劇で反戦発信へ 舟入高演劇部元部員ら中区で5月初演

早世の被爆者描く「蛍火」「平和考えるきっかけに」

 広島市である先進7カ国首脳会議(G7サミット)に合わせ、原爆劇で知られる舟入高(中区)演劇部の元部員たちが5月、戦後に早世した被爆者の人生を描いた創作朗読劇「蛍火」を中区のJMSアステールプラザで初演する。世界の注目が被爆地に集まる時期に、反戦や和解のメッセージを発信しようと意気込んでいる。(宮野史康)

 劇は、10歳で被爆した少女が戦後の広島を生き抜き、45歳で亡くなるまでを描く。「ピカなんかに負けまあや」と語る夫、やけど治療を支援した米軍人…。出会いを通じて原爆を落とした米国への憎しみを乗り越えつつ、「戦争さえせんかったら、原爆を落とされることもなかった」と振り返る。

 合間に楽器演奏や合唱を交え、終盤には峠三吉の詩「にんげんをかえせ」を「アメージング・グレース」にのせて歌う。上演時間は1時間半。総勢70人余りが出演する。今月15日には約50人が西区の公民館に集まり、練習に励んだ。

 発案したのは、元舟入高演劇部員の藤井哲伸さん(62)=東京。原爆資料館(中区)に被爆3日後の写真が展示されている母の幸子さんを1977年に42歳で亡くしており、「被爆を生き延びた母は30年余り後に命を奪われた。原爆の悲惨さを伝えたい」と思い立った。先輩の久保田修司さん(65)=廿日市市=が脚本と演出を担当。タイトルには鎮魂などの意を込めた。

 被爆75年の2020年に初演を計画していたが、新型コロナウイルス禍で延期し、広島サミット直前に合わせることにした。久保田さんは「いかに戦争が人生を狂わせるか。戦争はしちゃいけんと投げかけ、平和を考えるきっかけにしてほしい」と話している。

 公演は5月17日午後7時、18日午後3時、午後7時の3回。前売り券2千円(高校生以下800円)、当日券2500円(同千円)。久保田さん☎080(3898)1837。

(2023年1月19日朝刊掲載)

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