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[広島サミット5・19~21] 条約発効「サミット好機」 CTBT準備委事務局長 課題浮き彫りに

 爆発を伴うあらゆる核実験を禁じる包括的核実験禁止条約(CTBT)機構準備委員会のロバート・フロイド事務局長は19日、東京都内で講演し、5月に広島市である先進7カ国首脳会議(G7サミット)への期待感を示した。条約に批准していない米国のバイデン大統領が被爆地を訪れることで、発効に向けた展望が開ける可能性に言及した。

 1996年に国連で採択された同条約は186カ国が署名するが、核保有国の米国や中国など8カ国が批准せず、発効していない。フロイド氏は被爆地でのサミット開催で「(条約が未発効という)課題が浮き彫りになる」と強調。米国の批准を目指し、バイデン政権関係者と頻繁に会談している現状も明かした。

 ウクライナに「核の脅し」を繰り返すロシアの動向に懸念を示し、「将来世代のために核実験や大量破壊兵器をなくさなければならない」と訴えた。

 講演に先立ち、岸田文雄首相と官邸で面会。首相の呼び掛けでCTBTの早期発効を目指す初の首脳級会合が昨年9月に開かれたことに触れ「リーダーシップに心から敬意を表する」と述べた。非公開の意見交換では、首相が掲げる「核兵器のない世界」への歩みを早めることで一致。核実験の兆候がある北朝鮮を念頭に、監視体制を強めることでも合意した。(樋口浩二)

(2023年1月20日朝刊掲載)

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