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出生率反転へ少子化対策 首相 防衛財源 増税対応 施政方針演説

広島サミット「核なき世界」主導

 第211通常国会が23日召集され、岸田文雄首相は衆参本会議で施政方針演説した。「従来とは次元の異なる少子化対策」で出生率の反転を目指すと強調。新型コロナウイルス感染症法の位置付けを今春5類に引き下げることに伴う公費負担見直しに言及し、5月に広島市で開く先進7カ国首脳会議(G7サミット)を機に「核兵器のない世界に向けた国際的な取り組みを主導する」と述べた。(樋口浩二)

 G7議長に今月就いた首相は「強い責任感を持って世界を先導する」との決意を表明。核兵器を持つ米英仏の首脳らが被爆地に集うサミットを機に「核なき世界」へ国際社会をけん引したい考えを示した。核戦力の透明性向上などを盛り込んだ行動計画「ヒロシマ・アクション・プラン」の取り組みを進め、今春2回目の会合を持つ「国際賢人会議」も重視するという。

 昨年の出生数が80万人を下回ると見込まれる現状を「社会機能を維持できるかどうかの瀬戸際」だと表現。6月の骨太方針までに児童手当引き上げなどを含む子ども・子育て予算倍増の大枠を示すと明言した。

 経済成長には「物価上昇を超える賃上げが必要」と呼びかけ、特に中小企業は価格転嫁の促進などで支えると説明。業績に応じた柔軟な賃金体系のモデルを6月までに示すとした。

 昨年の臨時国会で閣僚更迭を招いた「政治とカネ」や世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題は「ざんきに堪えない」と振り返り、再発防止のための「さまざまな改革」を誓った。

 昨年末の安全保障関連3文書の改定は「安全保障政策の大転換」と認めつつ、非核三原則や専守防衛は「いささかも変えない」と強調。防衛費増に伴う財源は「今を生きるわれわれの責任で対応する」とあらためて増税で賄うとした。憲法改正については「先送りできない課題」だと意欲を示し、今国会での論議を期待。原発政策は次世代革新炉への建て替えや運転期間延長を進めると説いた。

 新型コロナ対応は、公費負担に加えてマスク着用の考え方なども整理するとして「日常を取り戻すことができるよう歩みを進める」と述べた。

(2023年1月24日朝刊掲載)

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