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連載・特集

『生きて』 ゼネラル興産会長 山下泉さん(1936年~) <1> 世話好きの人生

広島の不動産業を先導

 原爆投下から高度経済成長期を経て、本社や倉庫、店舗を拡大する広島の企業を支えようと、1973年に当時では珍しかった企業向けの不動産会社ゼネラル興産(広島市中区)を設立した山下泉会長(86)。土地・建物の売買や賃貸の仲介、ビルの企画や管理などを通して、広島市中心部のまちづくりに関わってきた。近年、築50年を迎えて建て替えの検討対象となるビルは多い。会長に退いた今でも、自身の経験や幅広い人脈を最大限生かそうと「顧客のため、街のため」に動き回る。

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 お客さんがあるビルを買いたいと相談に来ても、立地や価格などいろいろな条件をみて、私が買っても失敗するようだったら、絶対に買わせない。買ってもらえば、私には仲介手数料が入ってくる。でも、お客さんのためにならない。

  ≪管理するビルは750棟を超え、市内トップ級。地場企業だけでなく、広島での出店を予定する全国チェーンや開発事業を検討する大手不動産会社も相談に訪れる。不動産管理を委託する地場企業も多い≫
 設立して50年を迎える。ありがたいことに今までお客さんがいなくて困ったり、資金不足で困ったりしたことは一度もない。お客さんのことを第一に考えて仕事をしてきたおかげだろう。不動産以外のことで相談に来るお客さんもたくさんいて、できるだけ力になるようにしている。80歳を過ぎてもあちこち飛び回るから、毎日がトレーニングよ。

 ≪広島商工会議所で市のまちづくりへの提言をまとめる都市機能強化委員会の委員長を務める。修道中・高の同級生で元衆院議員の亀井静香氏の選挙活動も支えた。広島県ハンドボール協会の会長として日本リーグ女子で活躍するイズミメイプルレッズの創設にも関わるなど、スポーツ界にも貢献してきた≫
 私の人生を一言でいうと「世話好き」。母親の影響か、小学校の頃から同級生にできないところを教えたりしていた。あとは負けず嫌い。力が伴わないと人から信頼してもらえない。やりきる力を身に付けるための勉強は惜しまなかった。(この連載は報道センター経済担当・松本真由子が担当します)

(2023年1月24日朝刊掲載)

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