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23年度基本計画策定へ 広島大跡地の平和研究拠点

 広島大本部跡地(広島市中区)の被爆建物、旧理学部1号館を拠点にした「ヒロシマ平和研究教育機構」(仮称)の開設で、市は25日、2023年度内に基本計画をまとめる方針を明らかにした。施設整備や研究内容について盛り込む。同年度の機構設立を目指す市と広島大(東広島市)、広島市立大(安佐南区)、広島平和文化センター(中区)の4者はこの日、連携協定を結んだ。

 市などによると、基本計画は1号館の保存範囲や方法、概算費用のほか、研究内容も明示する。当初は19年度に作る予定だったが、協議に時間がかかり、大幅に遅れていた。市は早ければ24年度に施設整備の基本設計に着手し、5年程度での完成を見込んでいる。1号館改修前の機構の活動は既存施設を使う。

 連携協定では、平和に関する共同研究・教育▽被爆の実態の学術的な分析と世界への発信▽施設の相互利用―などを確認した。機構として、被爆体験や核兵器廃絶、ウクライナとロシアの戦争などをテーマにした共同研究に取り組むほか、海外の若手研究者の短期受け入れも進める。大学間での単位互換や教員の相互派遣をできる「大学等連携推進法人」の認定も目指す。

 この日、中区であった協定締結式には松井一実市長たち4者のトップが出席。広島大の越智光夫学長は「広島らしい教育研究を展開し、地域の発展にも資するよう努めたい」、市立大の若林真一学長は「新しい研究領域の創出や、教育プログラムの提供を目指す」と述べた。(小林可奈、川上裕)

広島大旧理学部1号館
 1931年に広島文理科大本館として建設された。鉄筋3階建て延べ約8500平方メートル。爆心地から約1・4キロにあり、外観を残して全焼した。49年の広島大開学で理学部1号館になり、同大の東広島市移転に伴い91年に閉鎖。2013年に市が取得し、1号館を長期的に活用するため、耐震診断や必要な補修の検討を進めている。

(2023年1月26日朝刊掲載)

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