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青山クラブ活用策 修正 呉市、「美術館移転」曖昧に 事業完了年度 明言せず

 旧海軍ゆかりの施設「青山クラブ」(呉市幸町)の保存・活用について、所有する呉市が示していた具体像がトーンダウンしている。昨年11月の市議会総務委員会で、市立美術館(同)の機能を移転する考えを提示したが、一部の市議が猛反発。25日の同委員会で「(美術館の建て替えは)現在地か幸町地区内か、幅広く検討する」と修正した。(上木崇達)

 開館40年を迎えた美術館は老朽化に加え、本館と別館が離れており運用上の課題を抱える。青山クラブを隣接の桜松館(おうしょうかん)と共に2018年に国から購入した市は、活用策を課題解決にも生かすことを模索したが、市議から「美術館にするために取得を認めたわけではない」と強い異議が上がっていた。

 再度の報告を求められていた市は、前回提示した「青山クラブは美術館と入船山記念館の全部か一部を集約し、文学館やカフェなども加える」「桜松館は音楽活動の場など交流を促す施設として活用」とする方針を撤回。「歴史、文化、芸術を学び感じられる場としての機能を検討する」と曖昧な表現に変更した。

 4施設がある幸町エリアを一体的に再整備する方針は変更せず、物販、飲食、宿泊など、にぎわいづくりの機能を検討することを新たに表明した。本年度中に設置する有識者会議のメンバーについて、地元の学識経験者や海上自衛隊呉地方総監部から人選したい考えも示した。

 市は「25年度以降に(各施設の)基本、実施設計などを練り上げたい」と説明。事業を完了させる目標年度を問われたが、具体的なスケジュールは明言しなかった。

(2023年1月26日朝刊掲載)

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