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日本の核武装論 懸念 外相会談で中国側伝達

 先月東京で開かれた日中外相会談で中国の楊潔濤外相が、北朝鮮の核・ミサイル実験を背景にした日本国内の核武装論や敵地攻撃論の高まりを指摘し「関心を持って注視している」との表現で、中曽根弘文外相に懸念を伝えていたことが分かった。複数の米中関係筋が2日までに明らかにした。

 中国は、米国との間では既にさまざまな協議で日本の核武装論を取り上げているという。しかし日本政府筋は、中国が閣僚レベルで日本に対し直接懸念を示したのは「初めてではないか」と指摘。北朝鮮の脅威に対抗し、日本が軍備増強に走るとの中国側の懸念が、かつてなく強まっていることを象徴している。

 6月7日の会談で楊外相は、北朝鮮の核実験や核保有に強く反対する立場を表明すると同時に「北東アジアの平和と安定の維持」の重要性を強調した。その流れで、日本国内の核武装論と敵地攻撃論の台頭に言及した。

 これに対し中曽根外相は「日本の姿勢は変わっていない」と説明して理解を求めた上で、北朝鮮に対する一層の影響力行使を中国側に求めた。中国側は同月24日に北京で開かれた外務次官級の日中戦略対話でも、日本の核武装論や敵地攻撃論に懸念を表明した。

(共同通信2009年7月2日配信、7月3日朝刊掲載)

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