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島根原発 全停止2年 稼働時期 なお見えず 地元で渦巻く賛否

 中国電力島根原子力発電所(松江市鹿島町)は27日、1、2号機とも稼働しない「全停止」となって丸2年を迎えた。福島第1原発事故の影響で全停止期間は最長を更新し続けるが、最も稼働に近い2号機でさえ、時期は見通せない。経営悪化を理由に早期稼働を目指す中電に対し、地元では賛否が渦巻く。

 福島の事故を受け、国が決めた稼働手続きは2号機で最初に始まった。中電は、原子力規制委員会が新たな規制基準への適合を調べる安全審査の申請に向け昨年11月、地元の島根県と松江市に事前了解を要請。了解を得て同12月に申請した。

 2号機は、40年を超える運転に必要な原子炉の検査「特別点検」が課せられた1号機より、稼働へのハードルは低い。中電幹部は安全審査の申請前の地元説明で、停止に伴う燃料費の増加分が年間1200億円に上ると強調。苅田知英社長も12月、「2号機を動かさないと、厳しい収支状況を改善するのは難しい」と訴えた。

 規制委による2号機の審査は16日に始まったが、福島第1と同じ沸騰水型で審査基準が厳しく、審査の終了時期は未定だ。地元には、経済界を中心に「規制委が安全と言えば動かすのが現実的」(島根経済同友会の宮脇和秀代表幹事)と早期稼働への期待がある。一方で「福島の事故が解明されておらず、基準自体が信用できない」(市民団体平和フォーラムしまねの杉谷肇代表)との懸念も根強い。

 中電は、ほぼ完成した3号機でも安全審査の申請を準備中。申請前に了解を求める島根県の溝口善兵衛知事は、稼働に向けた「ルールがない」と政府に手続きの明示を求めており、すんなりと申請できるかは不透明だ。

 1号機は3月29日に運転40年を迎える。規制委は運転期間を原則40年とする一方、2016年7月まで猶予期間も設けた。「廃炉の計画はない」とする中電は、15年4~7月に特別点検を規制委に提出し、別に安全審査も申請する必要がある。稼働を審議する県議会には「1号機は難しい」との声があり、稼働へのハードルは高い。(樋口浩二)

島根原発の全停止
 1号機は原子炉機器の点検不備問題を受け、2010年3月31日に運転を停止。そのまま同年11月、定期検査に入った。2号機は12年1月27日に定期検査入りして以来、停止している。

(2014年1月28日朝刊掲載)

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