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創業者の思い踏まえ 回天映画作りに寄付 出光興産が顕彰会に

 石油元売り大手の出光興産(東京)は26日、旧日本軍の特攻兵器「回天」の映画を作る周南市の回天顕彰会に支援金を寄付した。戦後に同市へ進出した創業者の出光佐三(1885~1981年)が、回天の基地があった同市の大津島に回天記念館を建てるため協力した経緯を踏まえた。顕彰会は製作費に充て、11月にも試写会を開く。

 市内での贈呈式で、徳山事業所(同市)の三品鉄路所長が顕彰会の原田茂会長(84)に目録を手渡した。金額は非公表。三品所長は「若い世代に伝える上で役立ててほしい」。原田会長は「多額な応援。心からお礼申し上げる」と述べた。

 出光は1957年、同社初の製油所を徳山海軍燃料廠(しょう)跡に構えた。同社などによると、訪れた佐三は多くの若者が命を失った回天基地の存在を知り、感銘を受けたという。記念館の建設賛助会で名誉顧問を務め、68年の完成に向けて同社が費用面で支えた記録が残る。酒造会社を営み、面識があった原田会長は「そばで鏡開きをした時になかなか開かず、にらみつけられた力強い姿を忘れられない」と苦笑する。

 映画はドキュメンタリー作品で、証言の聞き取りを収める。平和の大切さを伝える教材を目指している。(井上龍太郎)

(2023年1月27日朝刊掲載)

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