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伴中校歌 「真実」に迫る 歌詞をたどると 教諭の抑留経験 放送部が映像作品 地元で上映会

 広島市安佐南区の伴中放送部が制作したドキュメンタリー映像「校歌に託された願い」の上映会が28日、同区の沼田公民館であった。母校の校歌を作詞した故人の元同校教諭のシベリア抑留経験と人柄を掘り起こし、全国大会で優秀賞を受賞。地元で初めて披露した。(宮野史康)

 〽ああ人類が 永遠に めざす平和の 旗あおぎ

 短調の暗い曲調で平和を歌う校歌。部員の1、2年17人が、理由を探った。元教諭の弟や教え子、元校長の証言を収録。ネズミやミミズを食べ、長女を失った抑留の体験が歌詞の背景にあり、短調だからこそ重みが伝わると描いた。「平和への希望は、私たちが歌いつないでいくことで未来へ届く」と結ぶ。

 約8分の映像は昨年8月、NHK杯全国中学校放送コンテストで優秀賞に輝いた。「身近なテーマを取材して思わぬ発見をした」と評価を受けた。

 「真実は取材で見えてくる」をモットーに放課後や週末に取り組んだ。いずれも2年の柴田楓佳さん(14)は「謎解きのようでのめり込んだ」と振り返る。校歌への思いも強まり、立岩理緒さん(13)は「誇らしく感じる」、栗山拓馬さん(14)は「歌い継いでいきたい」と話す。

 上映会には住民や保護者約30人が参加。沼田まちづくり協議会の原田照美理事長(89)は「よく勉強している。軍歌のようだと思っていたが、先生の思いが伝わってきた」と話した。

(2023年1月29日朝刊掲載)

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