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島根2号機審査 主な論点にベント設備 規制委が24項目提示

 原子力規制委員会は28日、中国電力の島根原子力発電所2号機(松江市鹿島町)が規制基準を満たしているかを調べる審査会合を東京都内で開いた。主な論点として、放射性物質を取り除くフィルター付き排気(ベント)設備の性能や、想定する活断層の根拠など24項目を示した。

 ベントは事故時に原子炉格納容器を守るために蒸気を放出する設備で、福島第1と同じ沸騰水型の島根2号機は即時設置が必要となる。規制委側は、性能の根拠となる実験データや運用方法を説明するよう要請。使用時に被曝(ひばく)をできる限り低減する方策についても論点として挙げた。

 地震については、原発近くの宍道断層を延長22キロと評価する中電に対し、調査手法が妥当かどうか検証するよう指摘。津波では、島根県が最大規模と想定する佐渡島(新潟県)北方沖地震の反映を検討するよう求めた。

 規制委は次回以降、論点について「特に詳細な説明を求める」としている。中電電源事業本部の北野立夫専任部長は終了後の取材に対し、「どの項目も重要なポイント。求められるデータをそろえ、丁寧に説明したい」と話した。(山本和明)

<原子力規制委が示した島根2号機の主な論点>

・宍道断層の長さを評価した手法などの妥当性を検証
・安全確保のための協力会社を含めた全社的体制
・フィルター付きベント設備の性能の根拠となる実験データの説明
・ベント使用時、公衆の被曝をできる限り低減する方策

 
安全確保へ運用法注視

 規制委が28日開いた島根原発2号機の審査会合で、論点に示されたフィルター付きベント設備。事故時に放射性物質を放出する設備だけに、地元住民には不安もある。会合を傍聴した地元自治体の幹部は、厳しい性能のチェックと運用方法の審査を求めた。

 「ベントは稼働すれば被曝を伴う。厳しく審査してほしい」。傍聴後、松江市の増本勲原子力専門監はこう話した。

 原発30キロ圏に住む約39万6千人の避難計画を策定している島根県も、大きな関心を寄せる。ベントの稼働は住民避難のタイミングに影響する。県防災部の細田晃次長は「住民の被曝線量をいかに抑えるかが大事。どこまでそれを考慮した運用方法が示されるか」と審査を注視する。

 ベント稼働の権限について、中電は島根原発の発電所長にあるとの立場で、県と松江市にも異論はない。しかし、島根2号機と同じ沸騰水型の原発のある新潟県は、住民の安全を確保しない限り東京電力に運用を認めないとし、より慎重な姿勢を示す。運営方法について中電は「地元との協議は欠かせない。方針が固まれば説明する」としている。

 安来市自治会代表者連合会の石橋富二雄会長(66)は「住民の命を預かる島根県にも運用責任がある。被曝を防ぐため、県は中電と協議を尽くしてほしい」と訴える。(樋口浩二)

(2014年1月29日朝刊掲載)

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