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「被爆地からの発信重要」 広島平和文化センター 香川新理事長が抱負

 広島平和文化センター(広島市中区)の理事長に2月1日に就任する元エジプト大使の香川剛広氏(65)が30日、市役所で記者会見した。5月に市内である先進7カ国首脳会議(G7サミット)を契機とした、核兵器廃絶の機運醸成へ意欲を示した。

 外務省出身の理事長は連続3人目。中東への赴任歴が長い香川氏は、イラク戦争やイランの核開発疑惑に対応した経験に触れ「平和の問題に関わるのはライフワークの一つ」と語った。

 核兵器廃絶へは、ウクライナ情勢などを踏まえて、サミット開催時やその後の「被爆地からの発信が非常に重要になる」と指摘。事務総長に就く平和首長会議などを通じ「国際的な協力のネットワークを広めるのに貢献したい」と述べた。

 会見には、6月の任期満了を待たずに、健康上の理由で今月末に退任する現理事長の小泉崇氏(71)も同席した。小泉氏は「じくじたる思いがあるが、これ以上続けると皆さんに迷惑をかける」と説明。昨年6月にオーストリア・ウィーンであった核兵器禁止条約第1回締約国会議への参加を「核兵器廃絶を目指す息吹を感じた」と振り返った。

 香川氏は東京都出身。1981年に外務省に入り、TPP等政府対策本部首席交渉官などを歴任し、2022年11月に退職した。センターは香川氏の外交官としての実績などを踏まえて理事長候補に選び、今月18日の理事会で正式に決めた。小泉氏の残り任期を引き継ぎ、6月の理事会で再任する見通し。(小林可奈)

(2023年1月31日朝刊掲載)

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