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社説・コラム

天風録 『民主主義の日の出』

 歯向かう者への弾圧を続けるものの、ミャンマーの民は軍に心をなびかせない。思い通りにはならないとみて、総選挙は先延ばしせざるを得なくなった。おとといクーデターから2年たったが、軍事政権に抗議する「不服従運動」の火は健在だ▲それもそのはず、半世紀続いた軍政を終わらせ、3年前の総選挙では、民主主義をさらに進めよと強く訴えたのが民意だったのだから。それをクーデターがぶち壊してしまった。容赦のない弾圧で3千人近くが犠牲になり、1万7千人が拘束された▲軍の強権支配を止めるため、何か私たちにできるだろうか。行動で答えを示してくれているグループが広島にはある。毎月1日、繁華街で街頭アピールを重ねる「ミャンマー(ビルマ)市民の訴えを聞く会」だ▲その母体となった団体も、手本になる。隣国タイにある難民キャンプで教育支援を15年続けている。「日の出」という名前の学校をサポートし始め、子どもたちに光が見えてきたのに、クーデターが全てを暗転させた▲軍政という夜が再び明けるのはいつになるか。ウクライナに侵攻したロシアばかりを非難しがちだが、ミャンマー軍の横暴を忘れるわけにはいかない。

(2023年2月3日朝刊掲載)

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