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広島を「貸し舞台」にするな 元市長・平岡さん、サミット成果巡り懸念

 元広島市長の平岡敬さん(95)が広島市中区で講演し、岸田文雄首相が議長を務め5月に広島市で開かれるG7サミットについて懸念を表明した。被爆地を単なる「貸し舞台」にしてはならないと訴えた。

 平岡さんはG7サミットで広島が、核保有国と同盟国の結束をアピールする場とされることを危惧。「参加国が(ウクライナに侵攻した)ロシアを批判するだけで会合が終わりかねない」と強調した。中国新聞記者として被爆者の激しい怒りの声を聞き取ってきた経験を踏まえ「軽々しくヒロシマを口にして利用してほしくない」とも語った。

 平岡さんはまた、反撃能力(敵基地攻撃能力)保有に踏み切るなど現政権による安全保障政策の大転換を「決して平和をもたらすものではない」と批判。軍拡を危ぶみ、「核なき世界をライフワークと言っていた岸田さんが、日本を戦争できる国、させられる国にしてしまった」と述べた。

 昨今話題の「新しい戦前」という言葉にも触れた。朝鮮半島で終戦を迎えた自身の歩みも振り返り、「戦争は突然起こるものではなく平時の延長線上にある。国民が批判の声を上げなくては取り返しがつかなくなる」と話した。

 講演はNPO法人ワールド・フレンドシップ・センター(西区)の主催。オンラインを含め約100人が耳を傾けた。(森田裕美)

(2023年2月6日朝刊掲載)

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