×

ニュース

基金創設 県要望へ 被服支廠巡り市民団体 中区で会合

 広島市南区にある最大級の被爆建物「旧陸軍被服支廠(ししょう)」の全4棟の保存を訴える市民団体「旧被服支廠の保全を願う懇談会」(中西巌代表)が5日、中区の原爆資料館東館で活動報告会を開いた。保存の工事費を確保するため、基金の創設を県に要望すると決めた。

 会員たち約60人が参加した。多賀俊介副代表(73)が、3棟を所有する県が「2棟解体、1棟の外観保存」から3棟の耐震化へ方針転換し、残る1棟を持つ国も追随したため、全棟保存される見通しになった経緯を説明。使い道を工事費に絞った基金の創設を県に要望するなどの活動方針を提案し、承認された。

 県は有識者懇談会で利活用策を協議しているが、まだ具体案が固まらず財源確保のめどは立っていない。報告会では、県への働きかけや募金などの活動を強めるため、被服支廠の近くで育った被爆者の切明千枝子さん(93)=安佐南区=が共同代表に就くと確認した。切明さんは「二度と戦争は駄目だという強い思いを、被服支廠から発信していこう」と呼びかけた。(松本輝)

(2023年2月6日朝刊掲載)

年別アーカイブ