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被爆2世援護訴訟 あす広島地裁判決 遺伝的影響 どう判断 長崎では請求棄却

 国が被爆2世への援護措置を怠っているのは違憲として、広島への原爆投下で親が被爆した広島、山口県などの2世28人が国に損害賠償を求めた訴訟の判決が7日、広島地裁で言い渡される。同種訴訟で初の司法判断となった昨年12月の長崎地裁判決は原告の請求を棄却しており、放射線の遺伝的影響を巡る評価と、2世に対する援護の在り方をどう位置付けるかが焦点となる。(堅次亮平)

 原告側は訴状などで、2世は長期間、親の被爆の影響による発病の不安など精神的苦痛を受け、「国は援護措置を怠ってきた」と指摘。被爆者援護法が定める被爆者と比べると「不平等で違憲」などと主張する。

 最大の争点である放射線の遺伝的影響を巡り、原告側は哺乳類のマウスを使った実験や日本遺伝学会の見解などから、ヒトへの影響も否定できないと指摘。放射線の健康被害が打ち消せない場合は被爆者と認定すべきだとした「黒い雨」訴訟の広島高裁判決を踏まえ、被爆2世は「被爆者として援護対象とされる人」とする。

 これに対し、国側はこれまでの各種研究に加え、2世を対象にしたDNA検査やゲノム解析など最新の知見でも影響は認められないと反論。「親の放射線被曝(ひばく)によって2世の健康影響が生じることが高い確度で立証されていない」などとして、請求棄却を求める。

 長崎地裁判決は、遺伝的影響について「可能性を否定できないというにとどまる」とし、援護対象に加えるかどうかは国の裁量に委ねられるとした。

 原告の一人で、全国被爆二世団体連絡協議会の平野克博事務局長(64)=廿日市市=は「がんなどの病気や同じ2世の早死にを全て放射線の影響かもしれないと思ってしまう。『疑わしきは救済』の判断を求めたい」と訴えている。

(2023年2月6日朝刊掲載)

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