×

ニュース

[広島サミット5・19~21] あと100日 被爆3ヵ月後の元宇品 主会場周辺 米軍撮影

焼失の市中心部も

 広島市での開幕まで8日で100日に迫った先進7カ国首脳会議(G7サミット)で、主会場となる今の南区元宇品町を被爆約3カ月後に撮影した写真を、所蔵する米国陸軍遺産教育センター(ペンシルベニア州)が中国新聞に公開した。元宇品町と市中心部の焼け跡を1枚に収めた珍しいカット。78年前の核兵器使用の惨禍に向き合った上で、廃絶へ前進する議論が首脳たちに求められる。

 写真は、原爆を投下した米軍が1945年11月ごろに撮影。元宇品町の北側の宇品町(現南区)など沿岸部は、焼失を免れて建物が残っていたため黒っぽく見える一方、爆心地から2キロ前後の市中心部は一帯が全焼したため色が薄く見える。鮮明ではないが、被害状況の違いが分かる。

 原爆資料館(中区)の学芸員が4年前、センターへ調査に赴いた際、被爆後の広島に入った米軍人の故チャールズ・ラウクス氏が残した資料の中から、この写真のプリントとネガを見つけた。今回、広島サミットを前に、中国新聞が資料館の協力を得て公開用のスキャン画像の作成をセンターに依頼し、画像の提供を受けた。

 資料館学芸課は「被爆間もない時期、海の側から元宇品町と市中心部一帯を1枚に収めた構図の写真は非常に珍しい」としている。

 広島サミットは5月19~21日に元宇品町に立つグランドプリンスホテル広島を主会場に開催。核超大国の米国と、同じく核兵器保有国の英国、フランスに加え、日本と同様に核抑止力に安全保障を委ねるドイツ、イタリア、カナダの首脳が集まる。日本政府は、平和記念公園(中区)にある原爆資料館の訪問を日程に組み込むよう調整している。広島県や市は被爆者との面会も求めている。(編集委員・水川恭輔)

(2023年2月8日朝刊掲載)

5・19~21 広島サミットまで あと100日 広島サミット 原点の地で

年別アーカイブ