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「なぜ差をつけるのか」 被爆2世、敗訴に憤りと涙

 被爆2世を被爆者援護法の援護対象としないのは違憲とする訴えを退けた7日の広島地裁判決を受け、原告たちから憤りの声が上がった。「なぜ被爆者と2世で差をつけるのか」。健康不安に悩まされ、涙を流して国に救済を求める2世もいた。

 判決後、広島市中区であった集会。「『放射線の影響による健康被害の可能性が否定できない』。判決はその一言だけで良かった」。原告の一人で、全国被爆二世団体連絡協議会(二世協)の寺中正樹副会長(61)=山口市=は声を詰まらせた。

 福山市の占部正弘さん(64)はかつて、2世であることを「隠した方がいい」と言われたという。「不安におびえ、差別に悩んできた2世の苦しみを司法に理解してほしかった」

 昨年12月に同じく請求を棄却された長崎訴訟の原告も駆け付けた。二世協の平野伸人特別顧問(76)=長崎市=は「『黒い雨』判決が出た広島での判断に期待していたが、血も涙もない判決だ」と批判。弁護団長の在間秀和弁護士は「判決は遺伝的影響の可能性を司法が認めたとも理解できる。国がどう対応するか注視する」と話した。(堅次亮平)

(2023年2月8日朝刊掲載)

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