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大久野島の歴史 留学生が映画化 旧日本軍毒ガス工場にスポット

ドイツのシューマンさん「平和考えるきっかけに」

 ドイツから広島市立大(安佐南区)に留学中のフリッツ・シューマンさん(26)が、旧日本軍の毒ガス製造施設があった竹原市の大久野島をテーマにした短編記録映画の制作を進めている。「被爆地とは別の、もうひとつの広島を記録に残したい」と話す。(川井直哉)

 ベルリン出身のシューマンさんは、母国でフォトジャーナリズムを学び、地元紙記者も2年間経験した。交換留学制度で昨年10月から広島市立大に在籍。ことし夏まで滞在し、短編映画を撮る。

 映画は、戦時中に大久野島で働いた住民や研究者約10人の証言で構成する。約20分の作品で、語りや字幕は日本語版と英語版の2通り作る。

 初収録は1月29日。戦時に大久野島で働いていた三原市の岡田黎子さん(84)を訪ねた。劣悪な作業環境の兵器工場の様子を、カメラ越しに聞いた。

 シューマンさんは4年前、インターネットでたまたま大久野島の毒ガス製造を知った。「教科書で学んだ被爆地広島の近くに、かつて毒ガス工場が…」と驚いた。>毒ガス製造にはドイツの技術も関係していた。広島留学を機に映像で記録を残そうと決めた。

 「大久野島を知らない日本人も多い。島の歴史を知り、平和を考えるきっかけにしたい」と話している。

(2014年2月3日朝刊掲載)

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