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「A館移転」費 繰り越し表明 広島市 市議会で審議へ

 広島市中央公園(中区)にある市立中央図書館をJR広島駅前の商業施設エールエールA館(南区)に移転する計画で、市は8日、2022年度当初予算で確保していた関連費を23年度に繰り越す考えを正式に表明した。市民への説明や理解を得るための対応で事業着手が遅れたため。繰り越しには市議会の議決が必要で、15日に開会する定例会で移転計画への判断を再び仰ぐ。(余村泰樹)

 「(移転計画を)真に理解してもらえたかを問いかける場になる」。松井一実市長はこの日の記者会見で強調した。市は22年度当初予算に関連費1億7700万円を計上していたが、未執行となった1億5800万円を繰越明許費として今回の22年度一般会計補正予算案に設定。移転計画に関する予算を再び市議会に諮ることになるが、「われわれとしては説明すべきことは説明した」と述べた。

 1年前の22年度当初予算の審議では、市議会内でA館移転への賛否が拮抗(きっこう)し、可決が直前まで見通せなかった経緯がある。市は「関係者に丁寧に説明し、理解を得た上で移転先を決定する」よう求めた市議会決議の対応を優先し、3月の予算成立から1年近くたっても大部分が未執行となった。

 この間、市はA館や現在地などの整備先を比較検討する資料を作り、市議会や関連の審議会で説明。決議に沿った対応をしたとして、先月23日にA館移転の基本計画をまとめた。23年度当初予算案でも関連費4千万円を積み増している。

 ただ、一部の市議や市民団体は「理解を得られていない」と主張。団体側は市に整備先の再検討を求める要望書を出しており、市議会の判断に注目している。

 22年度一般会計補正予算案は346億5100万円で新型コロナウイルスのワクチン接種費用などを含む。市は定例会へ予算案をはじめ80議案を提出する。

(2023年2月9日朝刊掲載)

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