×

連載・特集

『生きて』 ゼネラル興産会長 山下泉さん(1936年~) <14> 視察旅行

パリの歩道活用に関心

 海外旅行は多く出かけた。新型コロナウイルス禍で中断しているが、収束すれば再開したい。旅行の目的で一番多いのがハンドボールの国際大会や会議。次が広島東南ロータリークラブ(RC)の公式行事。友人夫妻との旅行、社員旅行と続く。

 一番感銘を受けた都市は、友人と訪れたフランス・パリである。シャンゼリゼ通り、エッフェル塔、凱旋(がいせん)門、ルーブル美術館などはもちろん、街中のどの建造物も伝統的で格調高い雰囲気を漂わせている。欧州はどの都市も歴史を大切にしている。新しい建築を追求する日本と大きな差を感じた。また、建物の前面は歩道が広く、店頭を活用したカフェが市民や旅行者の憩いの場となっている。広島市中区の平和大通りなど、市中心部の方向性を示唆する都市づくりだと思う。

  ≪広島東南RCと米ハワイ州ホノルル市のパールハーバーRCとの姉妹縁組が締結25周年を迎えた2007年、同市での調印式に広島東南RCの会長として出席した≫
 海外訪問の中でも特に貴重な経験となった。真珠湾攻撃と原爆投下を乗り越え、友好関係を築くことは非常に大切な行事である。植樹祭もあり、ホノルル市長に広島市長のメッセージも届けた。

  ≪1993年には、バーレーンでのハンドボール男子のアジア選手権のため、日本代表チームの団長として遠征している≫
 海外に行くと、日本では考えられないような出来事に遭遇できる。中東諸国はイスラム教の戒律が厳しく禁酒だが、バーレーンは飲酒できる。海を挟んで隣国のサウジアラビアは特に戒律に厳しいことで有名。両国の間にはサウジアラビアの全額出資で全長約25キロの橋が架かっている。週末や休日を楽しもうと、サウジアラビアから国境を越えて来る人で渋滞が発生する。バーレーンのホテルでは一晩中大騒ぎする様子を目の当たりにした。選手団も騒音で寝られなかったほどだ。

 遠征中には砂漠の中でのゴルフも体験した。石だらけのコースにマットを敷いてショットを打ち、砂をアスファルトで固めた茶色い〝グリーン〟でカップを狙った。現在は芝生のゴルフ場になっているそうだ。

(2023年2月10日朝刊掲載)

年別アーカイブ