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台湾で米改良 功績を紹介 福山で講演会 市出身・磯永吉を顕彰

 福山市出身で「台湾農業の父」とされる農学者磯永吉氏(1886~1972年)を顕彰する講演会が11日、同市霞町のまなびの館ローズコムであった。台湾史研究者で作家の古川勝三氏(79)が、台湾の気候に合った米の栽培方法を確立し、後進の育成に努めた功績を解説し、約160人が聞き入った。

 1912年、台湾に渡った磯氏が、技師の末永仁氏(1886~1939年)とともに日本の品種を使って改良に取り組み「蓬萊(ほうらい)米」が生まれた歴史を紹介した。サトウキビや小麦などの改良にも尽力。台湾の農業生産が飛躍的に伸び、輸出で外貨を得て発展したとし「まさに農業の父」と評した。

 終戦後も台湾大で人材育成に力を注ぎ、台湾政府から日本の文化勲章に当たる「特種領綬景星勲章」を贈られた。「台湾は恩のある磯を大事にし、教科書にも載せている。日本人ももっと知るべきだ」と訴えた。

 県内の経済界の有志たちでつくる実行委員会が企画。講演には、磯氏の母校の日彰館高(三次市)の生徒たち21人も駆け付けた。2年川岡玄成さん(17)は「磯氏のすごさがよく分かった。今後も業績を学びたい」と話していた。(江川裕介)

(2023年2月12日朝刊掲載)

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