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矛盾する世論 「今」を笑いに ザ・ニュースペーパー 19日広島公演

「首相の地元 リアクション楽しみ」

 今年結成35周年を迎える社会風刺コント集団「ザ・ニュースペーパー」。刻々と動く政治や社会情勢を鋭く見つめ、やわらかな笑いで切り取る独自のスタイルを貫く。岸田文雄首相就任後初の広島公演が19日、広島市中区のJMSアステールプラザである。広島県神石高原町出身の福本ヒデは「首相の地元でどんなリアクションが生まれるか楽しみ。生の舞台の空気を共有してほしい」と呼びかける。(渡辺敬子)

 政治家などの物まねをしたメンバーがコントを繰り広げるザ・ニュースペーパー。ネタ作りは毎朝の情報収集から。ワイドショーを見て、新聞を読み、インターネットのニュースサイトをチェックする。ただネット上で盛り上がっていても、新聞やテレビは触れない話題もある。山本天心は「お客さんの中にも、ニュースとの接し方に開きが出てきた」と語る。「ネタにしたニュースをお客さんが知らなければ、笑いは付いてこない。足並みをそろえるバランスと湯加減が難しい」

 ロシアによるウクライナ侵攻、北朝鮮や台湾を巡る情勢を受け、防衛費に関する世論も動いている。最近の世論調査では、防衛費増額に賛成する一方、増税や国債発行には反対する傾向がある。「この矛盾が今の時代を表している。有権者に対する風刺も肝になる」と福本。山本は「大きな時代の変わり目を感じる。自分たちの笑いの作り方も問われる」と受け止める。

 「戦争反対」「平和を守れ」とスローガンを訴えることはしない。「ばかだよなって言いながら、日本は平和だと思えるのが実は幸せなのかも」と山本。福本は「新聞の見出し1行でどれだけ笑わせ、ニュースの面白さを知らない人にも届けるか。それが芸人としての役割」とうなずいた。

 午後2時半開演。6300円(前売り5800円)。HOMEイベントセンター☎082(221)7116。

(2023年2月11日朝刊掲載)

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