×

ニュース

[広島サミット5・19~21] 広島菜 販路拡大の好機 食べやすい「ミニ」栽培 「まぜご飯のもと」好調

健康効果 訪日客にPRへ

 5月に広島市である先進7カ国首脳会議(G7サミット)に向け、同市特産の広島菜の生産者や食品会社が販路拡大に知恵を絞っている。主流の浅漬けは賞味期限が短く、土産物としては課題がある。生でも炒め物などでも食べやすい「ミニ広島菜」の栽培を始めたり、まぜご飯のもとにしたりと工夫を凝らし、国内外から訪れる人に売り込もうとしている。(政綱宜規)

 主要産地である安佐南区川内地区の生産者たちでつくる「川内若農家の会」は、通常より小ぶりなミニ広島菜の流通を目指している。露地で2~3カ月育てる漬物用の栽培方法を見直し、ハウスに植えて30~40日で収穫。葉や茎が柔らかく、えぐみも抑えられる。葉の風味を残しつつ、生でも食べられ、ナムルや炒め物にも適しているという。

 昨秋に栽培を始めた。メンバーの上村隆介さん(39)は「飲食店や量販店の引き合いも強い。漬物以外の販路も広げ、ブランド価値を高めたい」と力を込める。

 広島市は昨秋、広島菜を「広島近郊7大葉物野菜」に認定した。サミットを前に小松菜やほうれん草とともに発信を強め、消費量を増やしたい考えだ。市農政課は「国内はもちろん、海外の人にも広島の名産を伝えたい」と意気込む。

 生産者の期待は、塩漬けを原料にしたまぜご飯のもと「ひろし」にも集まる。ふりかけ製造の三島食品(中区)が2021年2月に発売。交流サイト(SNS)で話題となり、約8億2千万円を売るヒット商品になった。包装には英語でも商品名を併記。同社は「サミットを機に、広島菜の魅力発信を後押ししたい」とする。

 一方で課題もある。浅漬けの賞味期限は約1週間。冷蔵保存も必要で、海外への持ち帰りは難しい。生産者には「外国人は塩辛い漬物を敬遠する。サミット特需は見込めないのでは」との受け止めもある。

 JA広島市の広島菜漬センター(安佐南区)はそれでも、インバウンド(訪日外国人客)の増加を見据え「サミットで追い風が吹いている」とする。「乳酸菌による整腸作用など漬物の健康効果は見直されている。ホテルや飲食店と連携し、観光客に食べてもらう機会を増やしていく」との考えを示す。

(2023年2月14日朝刊掲載)

年別アーカイブ