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被爆者ら「残念」「なぜ」 佐村河内さん楽曲問題

 「残念でならない」「なぜ、こんなことをしたのか」。佐村河内守さんの出身地の広島市では5日、被爆者や市民から驚きや失望の声が上がった。

 松井一実市長は5日夕に急きょ記者会見。「今回の事態は大変残念だ」と述べ、秋葉忠利前市長時代の2008年に授与した市民賞の取り消しも示唆した。佐村河内さんには11年7月に市役所で面会しており「一生懸命、広島の思いを伝えるべく励んでいる方という印象」と振り返った。

 「交響曲第1番 HIROSHIMA」は、08年にG8議長サミットの記念コンサートで披露された。広島県被団協(坪井直理事長)の箕牧(みまき)智之事務局長(71)は「世界に対してとても失礼だ」と批判した後、「曲に込めた反核の思いは、うそではないと信じたい」と続けた。

 市民グループ「ひろしま音楽芸能文化懇話会」を主宰する東区の上村和博さん(72)は、面識がある間柄で「誠実に音楽に向き合う人だと思っていた。期待していたのに」。西区の会社員児玉雅恵さん(38)は「被爆2世の彼を、市民は特別な思いで応援してきたはず」と落胆を隠さなかった。

 中区にある楽器店の店員福原裕介さん(41)は「フィギュアスケートの高橋大輔選手がソチ五輪で使う曲も別人が作ったと聞く。イメージが悪くなるのではないか」と気をもむ。「なぜ他人の曲を自分の曲としてきたのか理由を知りたい。はっきりさせないと、全てを疑ってしまう」

(2014年2月6日朝刊掲載)

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