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病院などの放射線防護、改修エリアを拡大 島根県、原発5~20キロ圏の工事へ

 島根県は6日、中国電力島根原子力発電所(松江市鹿島町)の事故に備えた病院と社会福祉施設の放射線防護について2014年度、原発から5~20キロ程度の十数カ所の改修工事に乗り出す方針を明らかにした。5キロ圏4施設の改修が13年度内に終わるため、対象エリアを拡大。自力での避難が難しい災害弱者の安全確保策を強化する。

 新たなエリアは、原発が立地する島根半島北部の松江市北部と出雲市東部を想定。各施設に改修希望を聞いた上で、放射性物質を取り除く空気浄化フィルターの設置に加え、換気設備の交換で建物の気密性を高め、被曝(ひばく)リスクを抑える。

 13年度は、事故の際に最も早く避難する5キロ圏の予防防護措置区域(PAZ)内の病院など4カ所を改修。3月までに完了する。14年度は国から新たに補助金約26億円が交付される見込みのため、13年度一般会計補正予算案に計上した。改修費は1施設当たり1億5千万~2億円を見込む。

 県は原発30キロ圏にある56医療機関の入院患者と278社会福祉施設の入所者計約1万4800人について、中国地方のほか九州、関西地方の施設への避難を検討中。ただ詳細な行き先は決まっておらず、搬送手段の調達のめども立っていない。原子力安全対策課は「まずは避難前に施設内で安全に過ごせるよう、工事を進めたい」としている。(樋口浩二)

(2014年2月7日朝刊掲載)

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