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露・ウクライナ・広島出身の3人 侵攻1年 反戦の調べ 南区で共演「音楽 国境超える」

 ロシア、ウクライナ、広島市出身の音楽家3人が共演するコンサートが19日、南区民文化センターであった。ロシアのウクライナ侵攻からまもなく1年。「音楽は国境を超える」と、被爆地から反戦と平和への祈りを込めた調べを響かせた。(宮野史康)

 ロシア出身のアンドレイ・ググニンさん(35)はピアノ、ウクライナ出身のアレクセイ・セメネンコさん(34)はバイオリンで、二重奏を披露。両国の作曲家が手がけた曲も交え、息の合った音色を奏でた。バッハの協奏曲には、オランダを拠点に活躍する西区出身のバイオリニスト木村瑠菜さん(24)が加わった。

 ググニンさんは、ロシアの軍事侵攻直後に反戦の声を上げ、政府から活動を制約されるように。今はクロアチアに亡命し、演奏を通じた平和発信を続けている。侵攻の前日、母国の首都キーウ(キエフ)で演奏会を開いていたセメネンコさんも、約1カ月の避難生活を経てドイツへ出国。「ロシアにも反戦を唱える人はいる。共に声を上げたい」と話す。

 今回は音楽家を支援する東京の一般社団法人の企画で、母国が敵対する若手2人の共演が実現。2人は最後に肩を組み、観客に何度も頭を下げた。被爆3世でもある木村さんは「両国の音楽家が当たり前のように共演を楽しめる状況に早く戻ってほしい」と祈った。

(2023年2月20日朝刊掲載)

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