連載・特集

　廿日市市の宮島にはかつて、原爆ドーム（広島市中区）の前身である広島県物産陳列館を設計したチェコ人建築家ヤン・レツルが手がけた有名な建築物がありました。１９１７年に完成した外国人向け「宮島ホテル」＝写真・宮島歴史民俗資料館所蔵＝です。

　場所は、現在の国民宿舎みやじま杜（もり）の宿辺り。本館は木造４階建て和洋折衷の外観デザインで、アインシュタインやヘレン・ケラーも泊まりました。４４年まで営業して進駐軍の保養所になり、５２年に火災で全焼しました。 　宮島で生まれ育った宮郷安輝さん（８９）は小学生の頃、家族でおめかししてホテルで昼食を食べました。「当時としては珍しい建物で特別な感じがした」と懐かしみます。（永井友浩）

（２０２３年２月２０日朝刊掲載）

［広島サミット］