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[広島サミット5・19~21] 開会まで3ヵ月 外務省副事務局長 溝渕将史氏(57)=広島市南区出身=

被爆からの復興 世界に

 先進7カ国首脳会議(G7サミット)は3カ月後の5月19日、広島市で開会する。外務省G7広島サミット事務局で副事務局長を務めるのは、広島市南区出身の溝渕将史さん(57)。1993年の東京以降、日本で開かれたサミットに計4回携わってきたキーマンに史上初の被爆地開催の意義などを聞いた。(樋口浩二)

  ―外務省職員として東京、沖縄、洞爺湖(北海道)伊勢志摩(三重県)に関わった経験から、広島サミットをどう考えますか。
 世界で初めて核兵器の被害を経験し、そこから復興した広島。かつて「75年は草木も生えない」とも言われた街に国内外のメディアが集い、各国首脳の言動を追う。その様子が世界に発信される効果は大きい。岸田文雄首相の言葉通り、広島ほど平和発信にふさわしい場所はない。ロシアのウクライナ侵攻が長期化する中、核兵器を持つ米国、英国、フランスの首脳が被爆の惨禍に触れる意義は計り知れない。

  ―日本政府は各国首脳に原爆資料館(中区)を視察してもらう方向で、被爆者との面会も探っています。
 実現に向けた首相の思いは強い。限られた日程にどう組み込むか。視察も面会も検討を進めている。

  ―地元の人たちをどう巻き込んでいきますか。
 関連行事も含めて、できるだけ多くの場面に参加してもらいたい。多くの人が印象に残るサミットとすることが、後世に語り継がれる鍵になる。若い人には、この機会に改めて地元の被爆の実態を学んでもらい、国際情勢に関心を持つきっかけにしてほしい。

  ―サミット開催に伴う経済効果をどうみますか。
 伊勢志摩サミット時の試算(約5600億円)は上回るだろう。観光客の増加や国際会議の誘致に加え、会食に用いる地元食材などのPR効果も大きい。(地元官民でつくる)広島サミット県民会議から農産物や加工食品、地酒など約1300品の県産品リストを提供してもらっており、活用策を練っている。

みぞぶち・まさし
 1965年生まれ。広島大付属高では湯崎英彦広島県知事の級友。慶応大法学部卒。88年外務省入り。2016年の伊勢志摩サミットと広島市での外相会合で準備事務局次長を務めた。在ニューヨーク総領事館領事などを経て昨年9月から現職。

(2023年2月19日朝刊掲載)

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