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被爆70年向け35事業 広島市発表 平和公園中央参道改修や「歩み」発行

 広島市は6日、2015年の被爆70年に向けた記念事業を発表した。「平和への思いを共有する年」と位置付け、35事業に取り組む。このうち平和記念公園(中区)の中央参道改修や被爆70年史の発行など8事業は14年度から取り掛かる予定で、計1億700万円の関連経費を14年度当初予算案に盛り込んだ。(加納亜弥)

 被爆70年事業のテーマは、平和の発信力の強化▽被爆者援護と次世代への平和の思いの継承▽文化・芸術による平和の体現▽復興したまちの魅力の再発見とさらなる発展―の4項目。

 14年度に着手する8事業のうち、平和記念公園の原爆慰霊碑に向かう中央参道の改修には4410万円を投じる。15年の8月6日の平和記念式典から、参列者全てが利用できる大型テントを設置するため。設営用クレーンの重量に耐えられるよう地盤を改良する。

 戦後復興の歩みをたどる70年史は、国内外で資料収集を始める。被爆史の作成は50年史以来。17年に5千部を発行する予定だ。

 爆心地から約170メートルの被爆建物である平和記念公園のレストハウスの改修は、14年度に耐震調査を始め、18年度に終える。大正後期に架けられた被爆橋の猿猴橋(南区)は建造当時の姿に復元する。

 残る27事業は15~17年度に計画。15年夏には、世界各国の青少年が平和を語り合う会議や国連本部職員合唱団のコンサートがある。

 故丹下健三氏の設計で、原爆資料館、原爆慰霊碑、原爆ドームが同じ線上に配置された南北軸を解説する銘板を17年度に設置する。

 市は14年度中に70年事業を最終決定する。松井一実市長は「被爆から復興したまちづくりの成果を踏まえ、広島の将来に向けた新しい一歩を踏み出す機会にしたい」と話した。

≪被爆70年に向けた広島市の主な記念事業≫

【平和の発信力の強化】
・「平和・安全保障事典」の編さん
・平和記念式典で全面テント設営のための中央参道改修★(4410万円)
・広島、長崎両市の図書館が連携した資料の交換展示
・平和や観光関連情報をスマートフォンに提供するサービス拡充の準備★(90万円)

【被爆者援護と次世代への平和の思いの継承】
・被爆70年史編集発行事業★(2545万円)
・平和記念式典に在外被爆者と遺族を招待
・地域や職場での慰霊式典を記録した冊子の出版
・平和記念公園のレストハウス改修★(850万円)

【文化・芸術による平和の体現】
・第2次世界大戦前後の広島の変化をテーマにした展示会準備★(40万円)
・広島交響楽団の「摂氏4000度からの未来」演奏会★(500万円)
・米ニューヨークの国連事務局職員による合唱団コンサート
・平和をテーマにした障害者の作品展などピースアート事業

【復興したまちの魅力の再発見とさらなる発展】
・広島東照宮のみこし行列「通り御祭礼」の復活、継承
・平和記念公園の設計理念である「軸線」を周知する説明板設置
・全国花のまちづくり広島大会の開催準備★(265万円)
・猿猴橋復元に向けた設計★(2000万円)

★…2014年度予算案に盛り込まれた事業(かっこ内は額)

(2014年2月7日朝刊掲載)

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