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代作者、葛藤にじませ偽り告白 佐村河内さん楽曲問題 「情熱に共感」

 「ゴーストライターが前に出てはいけないと思っていた」。6日、作曲家佐村河内(さむらごうち)守さん(50)の楽曲の代作をしていたことを記者会見で謝罪した新垣(にいがき)隆さん(43)。無数のフラッシュを浴びながら、18年もの長きに及んだゴーストライターの実態を告白した。「私の書いた曲が世の中に受け入れられ、うれしかった気持ちがあったことは否めない」とも語り、葛藤をにじませた。(城戸収)

 約30台のテレビカメラが並び、150人以上の報道陣が詰めかけたホテルの会見場。新垣さんはまず、緊張した面持ちで謝罪文を読み上げた。楽曲を聴いてくれた人や演奏家、ソチ冬季五輪で使う曲に自身の曲を選んだフィギュアスケートの高橋大輔選手の名を挙げておわびの言葉を語り、頭を下げた。

 2人が出会ったのは、作曲ができる人材探しを佐村河内さんに依頼された知人の紹介だった。「軽い気持ちで引き受けた」

 2008年、広島市で開かれた主要国(G8)下院議長会議(議長サミット)の記念コンサートで世界初演となった「交響曲第1番 HIROSHIMA」。作曲前に佐村河内さんから手渡された当初のタイトルが「現代典礼」だった「指示書」も公開した。

 作曲の仕方や2人の関係も具体的に語った。「彼は実質的にプロデューサー。彼のアイデアを私が実現していた」。自らゴーストライターに徹していたとする一方、「彼の情熱と私の情熱が非常に共感し合えた時はあった」と振り返った。佐村河内さんから、完成の期限を示されることもあったという。金銭をめぐるトラブルの存在は否定した。

 約1時間半に及んだ会見。報道陣の質問に言葉を選びながら、淡々と答え続けた。今後について「できることなら、仲間たちと音楽活動を続けていきたい」と話し、作曲家としての自負をのぞかせた。

(2014年2月7日朝刊掲載)

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