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脱原発条例制定を直接請求 島根県に市民団体

 中国電力島根原子力発電所(松江市鹿島町)が立地する島根県の市民団体「島根原発・エネルギー問題県民連絡会」は7日、再生可能エネルギーの普及により脱原発を図る条例の制定を県へ直接請求した。請求に賛同した署名数は8万3323人で、県内有権者58万3637人(昨年12月)の14・3%に相当。請求に必要な2%の約7倍に上った。

 代表者の北川泉島根大元学長(82)たちが県庁を訪れ、溝口善兵衛知事に請求書を提出した。北川代表は「自然エネルギーの普及を力強く進めていただきたい」と求めた。

 溝口知事は「大事な課題」などと応じたが、条例への賛否は保留。自身の意見を付けて県議会定例会開会日の12日、条例案を提案する意向を伝えた。

 条例は、原発からの「計画的な脱却」に向け、再生可能エネルギーの普及に県が責務を持つことが柱。その手段として、県民や事業者の意見を聞いて「エネルギー基本計画」を策定することを求めている。

 請求後の会見で、連絡会事務局長の保母武彦島根大名誉教授(72)は条例制定の意義に触れ「(県行政は)縦割りで実効性のあるエネルギー政策が立てられない」と指摘。全庁で一体的に再生可能エネルギーの普及を進めるには、具体的な計画の設定が必要との考えを強調した。

 福島第1原発事故以降、47都道府県では東京、神奈川、三重の1都2県が再生可能エネルギーの普及や省エネを推進する条例を定めた。原発の立地道県は制定していない。(樋口浩二)

(2014年2月8日朝刊掲載)

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