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変わる街 被爆地広島復興の象徴一新 新旧住民の交流に期待

 被爆地復興のシンボル的な建物だった広島市南区京橋町の市営住宅「京橋会館」の跡地に7日、民間主導の再開発ビル「フロンテージ広島」が完成した。バリアフリー設計の高齢者向け市営住宅と、分譲マンションが一体化。多世代が交流する生活空間になる。(加納亜弥)

 JR広島駅(南区)から南西約400メートルの好立地にあり、鉄筋21階建て、延べ1万4600平方メートル。ホテル経営のレガロホテルシステム(中区)などの企業体がビルを建て、市営住宅部分を市が買い取る手法をとった。

 市営住宅は3~5階部分で1DKの間取りが18戸、2DKは10戸。60歳以上の入居を前提とし、部屋や廊下の段差をなくして引き戸や手すりを設けた。日中は、安否確認など暮らしをサポートする相談員が駐在する。

 京橋会館は1954年完成の4階建て。外観と中庭を取り囲む「ロ」の字形の構造が特徴だった。老朽化のため、市は07年に更新を決めた。旧住民の15世帯が4月以降、新たなビルに戻る。続いて市は、残る13戸の入居者を公募する。

 1、2階には介護や保育の民間施設が入る。6~21階は分譲マンション(72戸)や高齢者専用賃貸住宅(64戸)とする。総事業費は約42億円。国と市が約20%を補助した。

 完成式典には、松井一実市長や地元関係者たち約50人が出席。新婚当時、京橋会館に住んでいた京橋町北町内会の末広孝幸会長(75)は「古びた街がすっかり様変わりした。子どもの声が響き、新旧住民の交流が生まれれば」と期待していた。

(2014年2月8日朝刊掲載)

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