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[広島サミット5・19~21] 核兵器の非人道性 示して ICANの川崎国際運営委員

どの国にも許さぬ姿勢を

 ウクライナを侵攻するロシアが威嚇に使う核兵器。この1年、日本政府の対応をどう評価すべきか。5月に広島市である先進7カ国首脳会議(G7サミット)は、どんな課題が突き付けられているのか。非政府組織(NGO)「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN(アイキャン))の川崎哲(あきら)国際運営委員に聞いた。(聞き手は中川雅晴)

 ロシアの暴挙で、世界はリアルな脅威にさらされている。米科学誌が発表する世界の「終末時計」はこの1年で100秒から90秒になり、人類滅亡が近づいているとの見方もある。

 核軍縮をサミットの議題の一つとする岸田文雄首相の考えは評価できる。他方で防衛力を抜本強化し、日米の軍事一体化を進めている。軍備増強と並行して「核なき世界」を唱えても唐突感がある。この「矛盾」を政府はどう捉えているのか。本来は深い悩みであるべきなのに、首相から、それが感じられない。

 米国とその「核の傘」に頼る国々が被爆地に集う広島サミットで、核兵器の非人道性を明確に示すべきだ。「あらゆる国による核の威嚇も使用も許さない」といったストレートな声明を出してほしい。ロシアを声高に非難するだけでは、被爆地で開く意味がない。

 もっと言うと、岸田首相は軍事力に頼らない国際的なルールづくりをこの際、主導すべきだ。核兵器禁止条約はロシアがしたような核威嚇を禁じている。被爆国の日本は、条約への批准を真剣に考えてほしい。

(2023年2月25日朝刊掲載)

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