×

ニュース

バウムクーヘン物語 ミュージカルで広島の原爆・似島の歴史伝える 東京公演 ユーハイムの半生描く

 広島原爆を題材にした親子向けミュージカル「バウムクーヘンとヒロシマ」が3月26~30日、東京・六本木の俳優座劇場である。児童文学作家巣山ひろみさん(60)=広島市佐伯区=の同名作品を原作に、東京の劇団イッツフォーリーズが制作した。菓子職人の心情や似島(南区)の歴史を通して平和の尊さを伝える舞台に向け、出演者は稽古に励む。

 主人公は現代の広島の小学生。キャンプで似島を訪れ、ドイツ出身の菓子職人カール・ユーハイムの半生を知る。第1次世界大戦中に島へ収容され、日本で初めてバウムクーヘンを焼いたとされる人物。原爆投下後に多くの負傷者が運び込まれた島の惨状にも触れ、平和への思いを強くする。

 「バウムクーヘンの匂いまで伝わるように」。演出家のアドバイスのもと、都内の稽古場では、出演者14人が踊りの振り付けやせりふの間合いを入念に確認し、臨場感を高めている。

 似島のキャンプ場スタッフ役の金村瞳さん(47)=佐伯区出身=は「似島や広島の悲劇を二度と起こさないために何ができるのか。子どもたちが考えるきっかけになれば」。ユーハイムを演じる財津優太郎さん(23)は「みんなを笑顔にしたいと菓子作りに挑んだ彼の心情をうまく表現したい」と意気込んでいる。

 公演は計7回。6千円(前売り5500円)、4~25歳3千円=前売りのみ。☎03(5823)1055。(山本庸平)

(2023年2月28日朝刊掲載)

年別アーカイブ